☆★☆ぽんつかのF1名(迷)車列伝☆★☆

☆ぽんつかのF1(をはじめとする)ミニカーコレクションの紹介☆

ぽんつかの『F1名(迷)車列伝』・2

 

◆1990 エスポ・ラルース ・ランボルギーニ ローラLC90

時は空前のF1ブームであった1990年、
このマシンは、前回紹介のティレル018と同時期に活躍したクルマだ
(実際018は第2戦まで、LC90は第3戦から投入の為、被ってはいない)
このローラLC90は、2人目のフルタイム日本人ドライバー鈴木亜久里が駆ったマシン。そして、その鈴木亜久里が日本モータースポーツ史に、現在も輝き続ける快挙を達成したマシンでもある。

ラルースは、1987デビューのフランスの弱小チームで、1990年に日本企業に買収され「エスポ・ラルース」となる。
バブル絶頂期の当時は、日本企業に買収された「日本系チーム」が乱立した。フットワーク、レイトンハウス、スバル・コローニ…
ちなみに「エスポ」とは、公共サウナ施設等を展開していた会社である(不動産業が母体)。元々亜久里の個人スポンサーだったエスポが、ラルースを買収。ラルースのオーナーとなったエスポの伊藤和夫社長は、亜久里を我が子のようにサポートした。

1988年にラルースからF1にスポット参戦した亜久里は、1989年にザクスピードというチームからフルタイムドライバーとしてデビューする。しかし、このドイツのプライベーターのマシンにはおよそ戦闘力と呼べるものはなく(搭載されたヤマハエンジンしかり)、亜久里は全16戦全てで予備予選落ちに終わる。
参加チームが多かった当時、約40台近くのマシンが、26台の決勝進出枠をかけて予選を戦った。その為、予選に進む為に通過しなければならなかったのが予備予選。
亜久里は、一度も予選にすら進むことなく、屈辱の89年シーズンを終える。
しかし90年、エスポがオーナー企業となったラルースに移籍した亜久里は、開幕戦アメリカGPで予備予選を突破し、18番手で予選も突破。決勝へと駒を進める。レース途中、一時は8番手まで浮上。マシントラブルでリタイヤしたものの、確かな手応えをつかむ。
その後は経験の浅さから来るミスや、トラブルでリタイヤが続いたものの第5戦カナダGPで初完走。第3戦から投入されたこのLC90と共に、その後第8戦イギリス、第14戦スペインで共に6位入賞、2ポイントを獲得しグレーテッドドライバーの仲間入りをはたす。
そして迎えた第15戦日本GP、ようやく戦えるマシンを携えての凱旋帰国となった亜久里は、なんと日本人ドライバーとして初めて3位入賞し、母国で表彰台登壇を果たすのだ

90年の日本GPは、この年も王者決定の舞台となる。確執が深まっていたマクラーレンのA.セナとフェラーリのA.プロスト。二人の天才が王者を争った90年日本GPは、オールドファンならご存知の通り、スタート直後の二人の接触によりあっけなくセナが王者獲得。
その後も強豪が次々と消えていき、気がつけばベネトンが1-2体制。それに続く形で亜久里は3位入賞となる。
上位勢総崩れで棚ボタの3位であったことは確かだが、トラブルも多く完走率の低かった当時のF1では、完走することが最重要であった。さらに当時はマクラーレンフェラーリ、ウイリアムズ、ベネトンが4強と言われ、中でもやや戦闘力の劣るウイリアムズ、ベネトンと上の2チームには、決して小さくない戦力差があった。それでもチーム力はこの4強が抜けており、そこにどう食い込むかがラルース他中堅、弱小チームの目標だった。
さらに、この頃にはラルースのマシンも熟成度が増しており、日本GPに限って言うならば、確実にウイリアムズの2台より亜久里のラルースの方が速かった。
レース終盤には燃費もきつくなり、ペースを抑えながらも亜久里は3位を守り切った。

マシンはラルースの自前ではなく、シャシーメーカーであるローラが作成。これにランボルギーニ製のV12が載った。
バランスがよく、ドライバビリティに優れたマシンには、エスポの他東芝、ゲオ、東和、ユニシスなど、日本企業のスポンサーロゴが踊った。

その後は日本のバブル景気が崩壊し、エスポは一年でオーナー企業から撤退。エスポの後ろ盾を失ったチームは低迷、亜久里も91年いっぱいでチームを去る。
その後ラルースは資金難のため94年をもって撤退。90年の走りを評価され、ベネトン入りを打診された亜久里も、91年のラルースとの契約を優先させた結果その後、95年にF1キャリアを終えるまで上位チームから再び声がかかることはなかった。

バブルのように膨れてはじけた、ラルースと亜久里のキャリア。LC90はまさに、90年代当時の日本とF1の関わりを象徴するようなマシンかもしれない。

◇ラルース・ローラLC90 
 デザイナー:クリス・マーフィー       
       ジェラール・ドゥカルージュ 
 エンジン:ランボルギーニ3512 3.5L V12(イタリア) 
 タイヤ:グッドイヤーアメリカ) 
 燃料:BP(ブリティッシュ・ペトロリウム)(イギリス) 
 ミッション:ラルース製6速MT 
 ドライバー 29:エリック・ベルナール(フランス)       
       30:鈴木 亜久里(日本) 

 

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