☆★☆ぽんつかのF1名(迷)車列伝☆★☆

☆ぽんつかのF1(をはじめとする)ミニカーコレクションの紹介☆

ぽんつかの『F1名(迷)車列伝』・4

◆1992 マクラーレン・ホンダ MP4/7A

前回紹介のウィリアムズFW14が、後継機であるFW14Bを投入してきた1992年。
対するマクラーレンは、既に尻に火がついた状態で開幕戦を迎えた。
それまで盤石だったマクラーレン、ホンダ、セナの牙城には昨シーズン、
ウィリアムズ、ルノー、そしてマンセルという猛獣によって、癒えることない大きな爪痕が刻まれ
既に尻尾を掴まれて引き摺り下ろされる一歩手前まで来ていたのだ。

開幕してすぐ、マクラーレン陣営の不安は現実のものとなる。
開幕戦南アフリカGPで早速優勝を飾ったウィリアムズのマンセルは、
そこから第5戦サンマリノGPまで怒涛の5連勝。うち4戦はR.パトレーゼとの1-2フィニッシュで
ドライバーズ、コンストラクターズともにマクラーレンは、序盤ですでに
逆転不可能な程のマージンをウィリアムズに与えてしまう。
マクラーレンは開幕から2戦を、前年の改良型MP4/6Bで戦うが、
ウィリアムズの92年型マシンFW14Bがセミオートマに加えてアクティブサスという
ハイテク武装を追加してきたのに対し、マクラーレンセミオートマすら未導入。
第3戦で投入したこのMP4/7Aでようやくセミオートマを搭載したものの、
アクティブサス搭載のFW14Bには太刀打ち出来ず。
V12へシフトしたホンダエンジンも、出力アップに比して重量増となり、
しかも気筒数増に伴い中低速トルクをロスするというジレンマに陥る。
王座死守は絶望的な状況に追い込まれ、マクラーレン・ホンダとセナは第6戦モナコGPを迎える。
ちなみにこの年ウィリアムズは、当初FW15という新車を投入する予定でいた。
しかし、アクティブサスの熟成の為に使用していた91年の改良シャシー
FW14Bで開幕5連勝を達成してしまったため、
92年をFW14Bで戦えると判断したウィリアムズ首脳が
FW15の投入を翌93年まで先延ばしにしたという経緯がある。
FW14Bは、それほどまでに高い戦闘力を発揮していた。

悲壮感を通り越して絶望感すら漂うマクラーレンだが、
しかしこの伝統のモナコマクラーレンとセナが奇跡をおこす。
レースは例によってマンセルが、開幕6連勝はもはや確実という独走状態。
スタートでパトレーゼの前に出て、2番手でレースを進める「モナコマイスター」のセナだが、
マンセルに肉薄することは出来ず、逆にマンセルに30秒近く水を開けられていた。
しかし残り8周、左リアのホイールに違和感を感じたマンセルが、突如タイヤ交換のためピットイン。
大きく開いていたマンセルとの差を逆転したセナが、期せずしてトップに立ち、
ここからF1史上に残るセナvsマンセルの「伝説のバトル」が展開される。

怒涛のように追い上げるマンセルと、薄氷を踏む思いでマンセルを押さえ込むセナとの
手に汗握るドッグファイト。圧倒的にスピードで上回るマンセルを、
市街地というコース特性と巧みなブロックラインで押さえ込むセナ。
マンセルを抑えきってシーズン初優勝を飾ったセナのマシンは、
ゴールと同時に白煙を上げてエンジンがブローアップした。
表彰台でシャンパンファイトに臨んだセナとマンセルだが、最後の8ラップに死力を尽くしきった
マンセルは、シャンパンファイトの後地面にへたりこんだ。
92年シーズンで最も印象に残ったレースを制したクルマが、このMP4/7Aだった。
実況の三宅アナ(フジTV)の「抜けない!抜けない!どんなにしても抜けない!
ここはモナコモンテカルロ!絶対に抜けないっ‼︎」は、ファンの間では未だ語り継がれる名実況である。

結局マクラーレン陣営が満を持して投入したこのマシンも、他にはさしたる戦果はなく。
マクラーレンは長らく続いた王座を、あっさりとウィリアムズに明け渡す。
年間9勝を挙げたマンセルは、早々と第11戦ハンガリーGPでチャンピオンを決めたのである。
だが、絶望的な状況で見せたモナコでの大逆転劇、そしてこの年で終了が決まっていた
ホンダ第二期F1活動の締め括りを、最終戦オーストラリアでG.ベルガーが勝利で飾るなど、
印象的な走りは随所に見せた。

さしたる成果のなかったマシンではあるが、
それまでのMP4シリーズとは、特にフロント部の形状を大きく変えてきており、
先代のMP4/6よりややシャープになった印象を受ける。
それまでのマクラーレンのマシンは、個人的には好きではなかったが、
この時代のマクラーレンのマシンとして、このMP4/7Aは私が最も好きなマシンである。

マクラーレン MP4/7A 
 デザイナー:ニール・オートレイ
       アンリ・デュラン 
 エンジン:ホンダRA-122E/RA-122E/B 3.5L V12(日本) 
 タイヤ:グッドイヤーアメリカ) 
 燃料:シェル(オランダ) 
 ミッション:マクラーレン製 横置き6速セミオートマ 
 ドライバー 1:アイルトン・セナ(ブラジル)       
       2:ベルハルト・ベルガー(オーストリア

 

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