☆★☆ぽんつかのF1名(迷)車列伝☆★☆

☆ぽんつかのF1(をはじめとする)ミニカーコレクションの紹介☆

ぽんつかの『F1名(迷)車列伝』・6

 

◆1990 フェラーリ 641/2

A.プロストフェラーリはなかなか手に入りにくい。
フェラーリ以外のプロストのミニカーは、マクラーレンでもルノーでも
ウィリアムズでも、数多くリリースはある。
しかし、90、91年のプロストフェラーリというのはほとんどない。
あっても非常に高額なメーカーのモデルばかりだ。
これは数年前、偶然ホ○ビーオフで見つけた、iXo(イクソ)製のリユース品だ。
リアウイングのデカールに剥離があるが、この機を逃せば
お目にかかれないと思い購入した。
ちなみに価格は¥3000である。

641/2は「名車」だ。誰がなんと言おうと。これほど美しい、
流麗なフォルムで、それでいて速かったマシンというのは、GP史上そうは無い。
これだけかっこよくて美しくて、それでいて当時最速と言われた
マクラーレンのセナと、王座を争った名車だ。
当時のF1マシンは、今よりもずっとロー&ワイドフォルム。
重心も非常に低く、ワイドトレッドのマシンは、それだけで文字通り
地を這うよな走行姿勢だった。とくにこの641/2の造形と装飾は秀逸で、
ウイング以外はイタリアンレッド一色のボディは。スポンサーロゴも多くなく、
スッキリ潔く「情熱の国イタリア」ろ体現していた。
グラマラスで流麗すぎるフォルムは、外見と実力を両立した、
F1マシンにおいて極めて稀有な一例といえた。
しかし、この641/2は本当に速かったのだろうか?

信頼性に不安のあるセミオートマを抱え、搭載されたV12エンジン「Tipo036」は、
高回転型の割にホンダV10よりもパワーで30馬力ほど劣っており
(のち「Tipo037」でやや改善される)、高回転域ではホンダに負け、
かといって低速域もトルクフルとは言えないV12エンジンだった。
事実モナコハンガリーといった低速コースでは大苦戦した。
それにナンバー2のマンセルは、トラブルの続発もあり16戦でわずか1勝のみ、
ポイントもプロストの半分以下で終わった。それを考えると、
641/2が必ずしも「速かった」とは言えないのではないか?
しかし対してプロストは、マシンのポテンシャルをしっかりと引き出した。
もしかすると性能以上のものを引き出していたかもしれない。
プロストはそのくらい速かった。プロストあってこその641/2だったと言える。
だから、このマシンはプロストの存在があってこそ初めて、
完璧な「名車」たりえるのだと思う。

前年初めて実戦投入されたセミオートマは、相変わらず信頼性の不安を抱え、
事実プロストは開幕戦を、ギアボックストラブルで落としている。
しかしプロストは641の初期型で第2戦ブラジルGPを勝利し
第3戦から投入された641/2では第6戦メキシコから第8戦イギリスまで3連勝。
その後第14戦スペインでも優勝し、シーズン5勝をあげた。
かたやチームメイトのマンセルは、第13戦ポルトガルの1勝のみで、
トラブルでのリタイヤも多かった。
ガソリン残量がハンドリングに大きく影響するデリケートな面もあり、
決して操り易いマシンではなかったはずだ。
それでもプロストは、最適なバランスとセットアップを見つけ、
信頼性に難のあるセミオートマも壊さずに手懐けた。
一度の操作で複数段のギアチェンジが可能な、いわゆる「段飛ばしシフト」
も使いこなした。79年のJ.シェクター以降ドライバー王座から遠ざかっていた
当時のフェラーリが、後に2000年にM.シューマッハが王座を獲得するまでの21年間で、
最も王座獲得に近づいたのがこの90年であり、
最も王座獲得に近づいたドライバーがA.プロストだったのだ。

88年、マクラーレンのドライバーだったプロスト
自身のパートナーとしてセナの獲得をチームに進言。
チームとして盤石の態勢を築くことを目論むも、次第にチームはセナよりになり、
最終的にチームの実権をセナに奪われたプロストは、この年フェラーリへと移籍した。
当時のF1の勢力図はマクラーレンの1強体制。
フェラーリやウィリアムズが追随するものの戦力差は大きく、
90年にしてもプロストがどこまでやれるのか、未知数という見方もあった。
しかし、フタを開けてみればプロストは、マクラーレン時代とかわらず
マシンを手懐け、王座獲得にあと一歩のところまで迫ったのだ。

641/2は間違いなく「名車」だ。しかしこのマシンの真価を語るには、
プロフェッサーの存在なくして語ることはできない、とプロストファンの私は訴えたいのだ。

フェラーリ 641/2 
 デザイナー:エンリケ・スカラブローニ
       スティーブ・ニコルズ
 エンジン:フェラーリTipo036 3.5L V12(イタリア) 
 タイヤ:グッドイヤーアメリカ) 
 燃料:アジップ(イタリア) 
 ミッション:フェラーリ製 7速セミオートマ 
 ドライバー 1:アラン・プロスト(フランス)
       2:ナイジェル・マンセル(イギリス)

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