☆★☆ぽんつかのF1名(迷)車列伝☆★☆

☆ぽんつかのF1(をはじめとする)ミニカーコレクションの紹介☆

ぽんつかの『F1名(迷)車列伝』・17

◆1991 モデナ・ランボルギーニ 291

80年代後半から90年代前半まで、F1は新規参入ラッシュが続いた。
F1を志す新参チームが、下位カテゴリの名門やらイタリアの新興勢力やら
ジャパンマネーの台頭やら… とにかく有象無象が湧いては消えるを繰り返す
チーム乱立時代。あのスーパーカーブランドがついに1991年、
コンストラクターとしてF1に参戦した。それがこのモデナ・ランボルギーニだ。

このチームは立ち上げの時点ですでに、「いわく」がついていた。
フェルナンド・ゴンザレス・ルナというメキシコ人実業家が
立ち上げた『グラス』というチームに、ランボルギーニが全面協力して
F1へ参戦するのがもともとの計画だったが、1991年のF1へのエントリーも完了し
マシンのシェイクダウンも済んだ90年7月にルナが資金を持ち逃げし失踪。
設立直後に倒産寸前の危機に見舞われたチームを存続させるため
チームの本拠地をランボルギーニがイタリア、モデナに移して参戦支援をする、
という形で誕生したのがこのモデナ・ランボだ。
ランボルギーニは、当時のレギュレーションにあった
「正式エントリー後のレース欠場による多額の罰金」を避けるために、
イタリア人資産家のカルロ・パトルッコと組んでチームを存続させ、
91年開幕直前には日本の土井産業が資本参加し、チームとしての体を保ったのだ。
※サイドポンツーンについた『Central Park』が土井産業のブランド。
 この年はほかにもラルースチームもサポートした。 

賢明なF1ファンであれば、参戦までの事情を知った段階で、
このプロジェクトが長続きしないであろうことは容易に想像がついたはずだ。
事実このチームは91年のみで撤退、ランボルギーニのF1活動史に
なんとも言えない汚点を残すものとなった。

ドライバーのニコラ・ラリーニとエリック・ヴァン・デ・ポールは、
ひとまず全16戦に出走、しかしラリーニは完走3回の他リタイア2回、
その他の11戦は予選もしくは予備予選落ち。
V.D.ポールは第3戦サンマリノの9位完走以外は、
全て予選及び予備予選落ちという惨憺たる結果に終わっている。

参戦にこぎつけるまでのすったもんだに加え、経験不足感の否めない
ドライバーラインナップ、そして開発体制のずさんさと、突っ込みどころしかない
チーム体制は、同年F1デビューで13ポイントを獲得したもう1つの新参チーム
『ジョーダン』との明暗をくっきりと分けた。
むしろこのチームが、1年通して全16戦を戦い切ったことが驚きだった。

以下は、91年のフジTVオフィシャルF1ハンドブックに書かれた、
森脇基恭氏のマシン診断の解説文だ。↓↓↓

「このマシンは実際に間近で見たことがあるが、ひどい作りだ。
まず、各部分の出来が非常に悪い。まるで素人が作ったのではないかという
感じさえする。普通はF1チームがマシンを作る場合、見た目の良さということを
考えるはず。もちろん性能面の充実は言うまでもないが、遅いマシンでも
見た目だけはキレイにしようとするものだ。特にイタリアのチームは。
ところがモデナのマシンは、そういったところがまったく見られない。
ウイングの材質やフィニッシュもひどいし、コックピットもきたないし、
見ていて悲しくなる。」 -原文ママ

……ボロクソである。他にも「ネガティブな要素が多い」、
「全部設計し直した方がいい」など容赦ない辛辣な評価のコメントが並ぶ。

結果的に、前年そこそこ活躍したランボルギーニエンジンを搭載しての
前述のリザルトが、森脇さんのコメントの正しさを示している。
マシンをデザインしたのはフェラーリでも活躍したマウロ・フォルギエリだったが、
フォルギエリはどちらかというと『エンジン屋』で、マシンデザインに関しては
もう当時のトレンドを知る者ではなかった。

参戦までのすったもんだ、資金もなく、ドライバーも経験不足、
エンジニアも適材適所がなされなかった結果、世界に冠たるスーパーカーブランドが
産み落としてしまった『稀代の駄馬』、それがモデナ・ランボルギーニ291である。

◇モデナ・ランボ 291
 デザイナー:マウロ・フォルギエリ
 エンジン:ランボルギーニ L3512 3.5L V12(イタリア)
 タイヤ:グッドイヤーアメリカ)
 燃料:アジップ(イタリア)
 ミッション:6速MT
 ドライバー 34:ニコラ・ラリーニ(イタリア)
       35:エリック・ヴァン・デ・ポール(ベルギー)

 

 

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