☆★☆ぽんつかのF1名(迷)車列伝☆★☆

☆ぽんつかのF1(をはじめとする)ミニカーコレクションの紹介☆

ぽんつかの『F1名(迷)車列伝』・19

◆1991 ティレル・ホンダ 020

中嶋悟は、日本におけるF1開拓者である。
1987年に日本人として初めてF1にフルタイム参戦し、
以降5年間ほぼ欠場することなく出走(90年ポルトガルGPを唯一体調不良で欠場)。
入賞10回、最高位4位1回、ファステストラップ1回を記録。
ホンダの後押しを受け、日本人の期待を一身に背負い先駆者として闘い続けた。
91年、38歳を迎えた中嶋悟は、前年アイルトン・セナマクラーレンで王者に輝いた
チャンピオンエンジンを得て、ティレル・ホンダの中嶋悟としてシーズンを戦った。
前年、後輩の鈴木亜久里に表彰台登壇で先を越された中嶋悟は91年、
2年ぶりにホンダエンジンを背負い並々ならぬ決意でシーズンに臨んでいた。

91年のティレルのマシン020は、前年のチャンピオンエンジンに改良を加えた、
ホンダRA-101Eを搭載。前年、F1界に衝撃を与えたハイノーズ、
アンヘドラルウィングを継承したマシンは、当然ながら
大きなジャンプアップを期待されて開幕戦からデビューした。
開幕戦は中嶋、No.2のステファノ・モデナ共に入賞と絶好の滑り出し。
※モデナ4位、中嶋5位、そして6位には鈴木亜久里が入賞した。
特にモデナは第4戦モナコで予選2番手を獲得(決勝はリタイヤ)、
続く第5戦カナダでは2位表彰台と好走を見せる。
しかし第6戦以降ティレルは、全くと言っていいほど上位に絡めなくなる。

一説にはシャシーとエンジンのバランスが悪かったとか、
シャシーの設計思想が既に古かったとか(フロントノーズ以外)、
中盤からのマシンアップデートが追いついていなかったとか、
様々な見解があるが、実際のところマシン開発がシーズン中に止まってしまって
いたのは事実らしい。さらに、この年目立ったのがピレリタイヤ勢の苦戦で、
グリップもさることながら耐久性の乏しさも、低調なパフォーマンスの
大きな一要因だったのは言うまでもない。
※不調の要因として関係者は一様にホンダV10の「重さ」をあげている。020は
 そもそもフォードV8搭載を想定してデザインされており、デザイナーの
 ポストレスウェイトも監督のケン・ティレルに「91年もフォードにしてほしい」
 と訴えていたという。
※また、監督のケン・ティレルが020への投資を望まなかったという証言も
 関係者の間では多数ある。開発が進まなかったのはそのせいで、さらに当時
 マクラーレンと提携したマネジメント契約では思いのほかスポンサーが集まらず
 徐々に資金も枯渇していったようた。
※ケンの息子ボブ・ティレルは、マーケティングのためにタイヤをピレリ
 スイッチしたのは完全に失敗だったとも述べている。

マシンパフォーマンスの低調さもあり、己の限界を悟った38歳の中嶋は、
第9戦ドイツでこの年限りでのレーシングドライバーとしての引退を発表。
その後も低調なパフォーマンスに終始しながら第15戦日本GPを迎える。
ホンダも中嶋の為に『鈴鹿スペシャル』エンジンを用意するが、
レース途中ステアリングシャフトの破損からS字を直進。
満場の観衆が見つめる中タイヤバリアに突っ込みリタイヤとなる。
終戦オーストラリアは、自身がファステストラップを記録し4位入賞した
89年と同じ、豪雨のアデレード市街地。誰もが『雨の中嶋』の再現を期待したが、
結果は1コーナーで左リアタイヤを縁石に引っ掛けスピン、リタイヤとなる。

有終の美を飾れなかった中嶋だが、最後のインタビューには
「僕らしくて、いいんじゃない?」と涙声で、それでも笑顔で語り、
濃密すぎた5年間のF1キャリアに終止符を打ったのだった。

ホンダパワーを活かせなかったティレルは、
この年獲得したスポンサーの多くを、ホンダと共に1年で失い、
慢性的な財政難に陥ってゆく。
結果この020は、改良を加えて93年中盤までの2年半使われた。
93年には片山右京がドライブ(020C)。2年の時を越えて、
2人の日本人がドライブした、日本にゆかりの深いF1マシンである。

ちなみにこのモデルは『1991年 日本GPバージョン』と銘打たれている。

ティレル 020
 デザイナー:ハーベイ・ポストレスウェイト
       ジョージ・ライトン
 エンジン:ホンダ RA101-E 3.5L V10(日本)
 タイヤ:ピレリ(イタリア)
 燃料:シェル(オランダ)
 ミッション:ヒューランド製6速MT
 ドライバー 3:中嶋 悟(日本)
       4:ステファノ・モデナ(イタリア)

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