☆★☆ぽんつかのF1名(迷)車列伝☆★☆

☆ぽんつかのF1(をはじめとする)ミニカーコレクションの紹介☆

ぽんつかの『F1名(迷)車列伝』・18

◆1999 B.A.R.・スーパーテック BAR-01

今回の名車烈伝は1999年、世紀末のF1界の話題を
いっとき独占したチームのお話。それがこのBARこと
ブリティッシュアメリカン・レーシングだ。

この国籍不明なネーミングのチームは、1999年?2005年までの6年という
短い間F1界に存在していた。チーム名のブリティッシュアメリカン云々というのは
このチームのメインスポンサーから来ている。英国に本社をおく
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(以後BATと記載する)が資金提供しており、
クレイグ・ポロックという実業家が資金難で喘いでいたティレル
買収することで誕生した。

この計画には95年のCART王者にして97年のF1王者ジャック・ヴィルヌーブが
深く関わっており、CART時代にヴィルヌーブのマネージャーだったポロック
チームを立ち上げ、レイナードが設計したシャシーをヴィルヌーブがドライブする、
というビジョンに基づき計画が進められた。
そして発表されたのがこのBAR-01である。
ちなみにこのカラーリングは、一悶着ののち変更が加えられたバージョンなのだが、
このカラーリングがシーズン開幕前に発生した悶着の原因となっていた。
 
BARは最初の新車発表会で2種類のカラーリングのマシンを発表した。
BATの異なるタバコブランドである「Lucky Strike」(LS)と
「State Express 555」(555)のカラーリングをそれぞれに纏わせ、
LSカラーをヴィルヌーブ、555カラーをNo.2のリカルド・ゾンタのマシンとして
走らせるという計画だったのだ。同じチームで違うカラーリングのクルマを
走らせることはCARTでは一般的な広告方法だが、同じチームのマシンは
同じカラーリングでなければいけないF1は、これを認めなかった。

その結果がこの写真である。BARはマシンの右半分を「555」、
左半分を「LS」カラーに塗り分け、ノーズの真ん中にファスナーを描いたのだ。
なんとも粋なセンスではないか。当時、チーム内で違うカラーリングのクルマが
走ることにワクワクしながら、FIAがこれを認めずにガッカリした私も、
このカラーリングを見て「ふふっ」となった記憶がある。

この頃はレギュレーションの締め付けが厳しく、F1マシンの形がどのチームも
似たり寄ったりになり、各チームの特徴をカラーリングにしか見いだせない
時代だったため、このカラーリングは大いに話題をさらった。
また資金力豊富な新規参入チームに、チャンピオンのヴィルヌーブが加入し、
長い間F1参入を望まれていたレイナードの参入も実現、期待感は非常に大きかった。
しかし、参入したカテゴリでは必ず優勝してきたという「デビューウィン伝説」を
もつレイナードも、量販ベースのシャシーメーカーとしての実績はF1では
通用しなかった。F1の開発ペースにについて行けず、大苦戦を強いられたのだ。
ルノーベースのスーパーテックエンジンも技術革新の速度が速いF1ではすでに
戦闘力を失っていた。ルノーは90年代前半を席捲した最強エンジンだったが
は97年を最後にルノーはワークスとしてはF1から撤退。
その後『スーパーテック』や『メカクローム』などのバッジで
カスタマーエンジンだけがF1に残ったものの、
もはや「最強エンジン」の面影はそこにはなかったのである。
結果、初年度は1ポイントも獲得できずにランキング最下位に終わる。

チームは翌年、F1における第3期活動を開始したホンダとジョイント。
ホンダと共に試行錯誤するも、思うような結果は残せず。
その後は欧州でのタバコ広告規制の強化に伴い、BATがホンダに株式を売却。
ホンダの完全ワークスチームとなり、BARはわずか6年で消滅する。
また、マシン製作を請け負っていたレイナードは、2002年シーズン開幕前に
資金難で倒産した。

ちなみにチームが辿った変遷を振り返ると、
ティレル → BAR → ホンダ → ブラウンGP → メルセデス 
ということで、なんとBARは巡り巡って現在、F1界最強のチームに姿を変えている。
当時苦労したBARの関係者も、これで少しは報われているのだろうか?
いや、ないな……

◇ブリティッシュアメリカン・レーシング BAR 01
 デザイナー:エイドリアン・レイナード
       マルコム・オスラー
       ウィレム・トート
 エンジン:スーパーテック FB01 3.0L V10(フランス)
      ※ルノーカスタマー
 タイヤ:ブリヂストン(日本)
 燃料:エルフ(フランス)
 ミッション:BAR/X-trac製6速シーケンシャル式セミオートマ
 ドライバー 22:ジャック・ヴィルヌーヴ(カナダ)
       23:リカルド・ゾンタ(ブラジル)
          ミカ・サロ(フィンランド
          ※第3~5戦をドライブ

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